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アラスカクルーズに参加して 川村時郎 2010年6月、アラスカクルーズに参加しました。アンカレッジ空港からウィッテア港に移動して、海岸伝いにバンクーバーまで、氷河や海岸都市を訪ねるクルーズです。 船上からヤクタック湾の氷河を眺める ツアー会社より入手した手書き地図 グレーシャーベイの後退するマージェリー氷河(Margerie
Glacier) マージェリー氷河の拡大写真 今回のクルーズで、氷河について興味あることを知りましたのでお伝えします。 このクルーズはアラスカにあるGlacier Bayに入り多くの氷河を眺めることが大きな目的でした。そのGlacier
Bayについて船内で配布された資料をもとに調べて見ると以下のことがわかりました。 (注:glacier 氷河の意) Glacier Bayの氷河について(概要)
この資料から氷河は17世紀なかばから約100年で170Km以上拡大し、その後、現在に至る約250年で170Km以上後退したことになる。氷河の盛衰は意外に早いものです。 14世紀半ばから19世紀半ばにかけて続いた寒冷な期間のことを小氷河期と呼ぶことがありますが、この小氷河期にGlacier Bayの氷河は発達し始め、その中葉の18世紀半ばに最大となり、その後、後退が始まっています。 後退の原因は気候の温暖化によることは間違いないでしょう。 ではグランドパシフィック氷河(Grand Pacific Glacier)はなぜ前進を始めたのでしょうか。(グレーシャーベイの地図の下に写真あり) 素人の単なる推測でありますが、その原因も気候の温暖化によるのではないかと思います。温暖化により氷河の氷が緩み、氷河の流れが速くなり、先端が押し出されて来たのではないか。氷河の厚みが薄いのがその証拠と推定します。だが、他の氷河はなぜそうならないのか疑問は残ります。専門家の見解を聞きたいものです。 Glacier Bayの地図 前進するグランドパシフィック氷河(Gland Pacific Glacier) 昨今、地球の温暖化が喧伝されています。その原因が人類の活動にあるとされているようですが、以上の氷河の盛衰を見ると甚だ疑問に思われます。イギリスで産業革命が始まったのは18世紀後半のことですから。 地球上に氷河期・間氷期が繰り返される原因は何なのでしょうか。ミランコビッチ・サイクル説というのが有力とされていますが、決定打にはなっていません。 Glacier Bay のクルージング後に、州都ジュノー(Juneau)のメンデンホール氷河(Mendenhall Glacier)を訪れました。41年前の1969年に出張で訪れたことのある氷河です。それが現在、どうなっているか興味を持っていましたが、やはり氷河は大きく後退していました。当時、撮った写真と今回の写真を添付します。写真を撮った位置が異なるので後退の状況ははっきりしないものがありますが、氷河の幅が非常にせばまっています。1969年撮影の写真に写っている人物、一人は当時アメリカ・シアトルに駐在していた元専務の甘利さん、左側は筆者です。 メンデンホール氷河(Mendenhall
Glacier) 2010年6月2日撮影 メンデンホール氷河(Mendenhall
Glacier) 1969年8月撮影 右 甘利さん、左 筆者 メンデンホール氷河のビジターセンターで見たテレビ画面では氷河の後退状況が時系列で表わされていました。2030年にはその先端は海から離れてしまうと予想されていました。ここでも気候の温暖化を実感せざるを得ませんでした。 海上に流れ込む氷河はアラスカの他、南米パタゴニアにしかないそうです。ヒマラヤ、アルプスでも氷河の後退が顕著ですが、その後退を容易に実感できるアラスカクルーズは非常に興味深いものでありました。 なお、このアラスカクルーズでGlacier Bayに入れる大型客船はディーゼルエンジンの他、ガスタービンを備えた船でなければならないという規制があります。Glacier Bayを見たいと言う方は注意を要します。また、氷河は夏の始まりにはまだ雪を頂き白く美しいのですが、夏から秋にかけては汚れて黒っぽくなるとのこと。最後の2枚の写真を比較するとその状況がわかるかと思います。綺麗な氷河を見るためには時期を選ぶ必要があります。 昭和36年入社 川村時郎 記 参考 アラスカクルーズの案内例 URL http://www.pacificresorts.com/cruise/search/byarea/alaska/special/ |