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眼高手低のボランティア

                      奥 正樹

 

「眼高手低」という四文字熟語があるが、一般的には悪い意味で使われるようだ。

しかし、三井ボランティアネットワークの活動対象である「多摩みどり復活プロジェクト」の活動に参加してみて「眼高手低」がボランテイアの原点と判った。つまり、高邁な理念を掲げて政治家や高級官僚、経営者のように振舞っても物事は何も始まらない。

 

このプロジェクトの目的達成の方法手段はまことに地味な肉体労働が主体の作業となるからで、この作業がボランティアで行われなければ、労働コストなどの面でとても引き合わず、目的が達成されないと判ったのである。

同様なことが言えるのが河川清掃、海岸清掃だ。

河川海岸環境保全の高い理念の活動も、やっていることは、ゴミ拾いに始まり、ゴミ拾いで終わる、全く手低そのものである。

「多摩みどり復活プロジェクト」は「水源林地域保全プロジェクト」という別称があって、やっていることは、奥多摩の伐採跡地や鹿の食害被害跡地、崩落地に、ヤマザクラ、ミズナラなどの広葉樹を植えることが主たる目的となっている。

このようなバックグラウンドを頭に入れて活動に数回ほど参加した。

 

活動場所は青梅線の奥多摩とその周辺、いつもの行程は、新宿発7時44分発で奥多摩到着は9時15分、そこからバスで20分、自宅を出て3時間、往復交通費が約4千円、昼食で千円の費用が掛かる。もっとも三井物産からの助成金1千5百円を頂けるので、実質費用は3千5百円である。

 

 参加者は三井関係のOBと数人の現役者、地元の人たちと合わせて合計20人前後。三井関係では、ネットワークの理事長、事務局長夫妻も参加することが多い。

地元の人たちの所属組織はいろいろあるがため、時々作業指示系統が混乱することもあるが、三井の人たちは文句も言わずに一生懸命に作業する。

だが、時には地元でやっておけばよさそうことを、三井の人間が来るのを待ってやらせる、また、居丈高に、作業を、また道具の使い方などを口やかましくいう人もいた。こんなときでもボランティアは我慢する必要がある。ボランティアは、やらせて頂く、やって頂くの、相互感謝の気持ちが必要なようだ。

 

作業は未体験のものがあるが、まず自生の樹木からの種子採取、発芽促進処理、苗床への播種、苗の床が替え、選別、山出しなどいろいろ有るが最後は山上げ、下刈りの重労働がある。

その他に三井物産の助成金によるフレームハウスの建設手伝いもあった。

ただ、作業時間は帰りの電車が15時過ぎになるので実働4時間くらいとなる。

現在、出荷可能な苗はヤマザクラ類、トチ、ミズナラで約1万本あるので、ヤマザクラ類を自宅、近所の空き地、あるいは母校などに植えたい方は

是非購入し、プロジェクト基金の積み立てに協力願いたいとのことである。

 

最後に、プロジェクトの構成団体を付記しておくのでインターネットで確認するのも一興だろう。

 

・奥多摩町日原自治会

・巨樹の会

・国定公園昭和記念公園

・多摩さくら百年物語フォーラム

・東京都植木農業協同組合

・三井ボランティアネットワーク事業団

(あいうえお順)